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「世界/国内の人形劇の歴史と人形劇情勢」について


○人形劇の起源
 人形劇の起源は、考古学的には古代文明期における彫像文化と神的儀式の起こりとともにあるとされ、その歴史は1万数千年前に遡る。祖先の魂や神々の依代として土偶や石製や木製の祭具が用いられ、その言葉を伝える儀礼行為が最も原始的な人形劇であると捉えられている。操演の人形としては、古代文明の出土品から――エジプトでは約3600年前、ギリシャでは約2600年前に作られたとみられる糸操り様式(マリオネット)の人形が発見されており、紀元前20世紀以上の古代社会において、すでに人形操演の様式が確立されていたことが示されている。
 一方で、人類行動学的には、人形劇は人の営みにおいて行動本能から自然発生するものと考えられている。幼児期において手近の物を用いて身の回りで起こった出来事を反芻する、いわゆる「ままごと行為」を見せることはよく知られた事象であり、また、意思疎通や物事の伝達手段としての「身ぶり手ぶり(ジェスチャー)」から物を用いた見立て劇としての人形劇表現に発展することは想像に難くなく、人類が社会性を獲得すると同時に獲得した表現行動もまた、原始的な人形劇であるといえる。

○人形劇の歴史
 神々を扱った祭礼儀式は、やがて神話劇へと発展する。元来、想像の存在である神々を具現化する手段として彫像文化が起こるのであるが、人が物語を創り始めると、その想像の人物たちや世界観=異世界(ファンタジー)を表す手段として人形劇は適した手段であった。また、人形劇表現の特性である物事の伝達手段としての有用性も相まって、多くの宗教的神話が人形劇で表されるようになる。
 時代が進み、10世紀頃には世界各地で「武勲詩」といわれる英雄や豪族の活躍に基づく物語が数多く創られ、それらは例外なく人間芝居や人形劇で演じられてきた。15世紀頃からは人間社会を風刺した物語が創られるようになる。人々の身近な暮らしをベースに、社会的教訓や道徳観、人情といった要素が盛り込まれ、多くの物語作家や戯曲家が生まれる。実はこの頃から、人々の舞台表現としての関心は、人形劇から演劇(人間芝居)に傾いていくのである。人形劇は、異世界の出来事や庶民社会とかけ離れた武勇伝などを表現するには適しているが、物語の題材が身近なものになればなるほど、生身の人が演じる人間芝居の方が、創り手にとっても観客にとっても有用性が高いためである。
  20世紀に入り、モダンアートの発展やファンタジー小説が数多く発表される時代になると、人形劇の舞台表現が再び脚光を浴びるようになる。かつて想像の神々の世界を描いてきた人形劇の表現様式は、多彩なモダンアートと空想世界の物語の融合により飛躍的に進化を遂げ、ここに「現代人形劇」というジャンルが確立されるのである。

○現代の人形劇情勢
 人形劇の歴史が示す通り、かつて人形劇は、大人が享受する芸術文化であった。しかしながら、現代における人形劇分野の位置づけは、一般的に(世界共通で)大人よりも子どもにとって有用なものと認識されている。これは、大人を対象とする美術品としての「人形」よりも子どもを対象とする「人形玩具」の市場が拡大したことや、芸術文化の享受対象の拡大=子ども達にこそ芸術を与えるべきという思想とともに、人形劇表現の特性が子どもの情操育成に有意義であるという認識が広まったことが大きい。
 近年では、人形劇と音楽やダンス、人間芝居など他ジャンルとのコラボレーション作品も多く見られ、様々なアート・パフォーマンスが創出されるとともに、人形劇においての表現手法もさらに多様多彩なものとなっている。観客対象としても、子どもから大人まで年齢問わず楽しめる作品を中心に、ベイビーシアタープログラムといわれる生後6か月~1歳半までの乳幼児(および保護者)に向けた作品から、高度な美術様式や社会テーマを盛り込んだ大人向けのものまで多岐にわたっている。
 デジタルテクノロジ―と情報化産業の目ざましい発達の陰で、人がもつアナログの力が急速に薄れつつあると懸念される現代社会。演劇・美術・音楽といった多要素が結集し、人間の活力・魅力を、観客に直に伝える総合芸術である人形劇は、健全な人間社会の構築に貢献すべく大いなる可能性を秘めた芸術文化である。

*国際人形劇連盟(UNIMA)
 1929年にヨーロッパ11か国が参加して設立した国際組織。日本は1958年に人形劇団プークが加盟。その後1967年に日本ウニマ(国際人形劇連盟日本センター)を発足して加盟。現在、センター加盟している国は全世界で100か国を越えている。


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人形劇と社会包摂
~誰もがあらゆる分け隔てなく、人として豊かに健やかに生きる~


 現代の人間社会においては、「成熟社会における社会包摂の成就」が大きなテーマであり、そのために芸術文化および文化施設(劇場)の役割が重要視されています。「社会包摂」~誰もがあらゆる分け隔てなく人が人として豊かに健やかに生きられること~の概念からすれば、人形劇文化(作品)というのは、ある意味その究極の形であると考えられます。
 人形劇の舞台空間では、人も動物も物体も/命のあるものもないものも/目に見えるものも本来目に見えないものも/が、各々の意義をもって実物として存在し、その作品世界を構成しています。この多元的多様性は、総合芸術・人形劇の本質であり、また、多様性と共生≒社会包摂がテーマとされる現代~将来の人間社会における、実は究極の姿なのかもしれません。

>人形劇と社会包摂 >人形劇と社会包摂

 人がもつアナログの力が急速に薄れつつある現代社会において、人形劇場とらまる座の劇場空間は、人の活力を直に感じられる生の舞台芸術鑑賞の場であるとともに、多種多様な人々が芸術文化を共有できる場であり、その意義は、今後ますます大きなものとなるであろうと考えられます。

>人形劇と社会包摂 >人形劇と社会包摂

 …と、小難しい話はさておき、人形劇場とらまる座では、特別公演企画はもちろん、定期公演企画でも、人形劇の魅力にあふれた作品を盛りだくさんでお届けしています。
 人形劇の多彩な世界をどうぞ心ゆくまでお楽しみください。
 

文責:東かがわ市とらまるパペットランド
   人形劇場とらまる座 館長 貴志 周


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